【書評】WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE. 現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ(著:佐渡島庸平)

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こんにちは、カワタです。

今回も書評を書いていきます。

※ネタバレございますのでこれから読む予定の方はご注意下さい。

 

はじめに

こちらの本は、現代における“コミュニティ形成の方法”が論理的に書いております。ただ著者の方も書いておりますが、完璧に検証されたものではなくあくまで現状での結果と仮設を書いています。また、“現代における”という表現はインターネットによりコミュニティのあり方が変わってきているという意味を持ちます。

この本を読んで面白いと思った点は、個人的に大事だと思うポイントが突然ポッと出て来る点です。また、論理的に書かれているので「なるほど」と納得して、わかりやすく言語化されているのでイメージがしやすいと思いました。

 

 

佐渡島庸平さんについて

株式会社コルク代表取締役社長。1979年生まれ。東京大学文学部を卒業後、2002年に講談社に入社。週刊モーニング編集部にて、数多くのヒット作を編集。インターネット時代に合わせた作家・作品・読者のカタチをつくるため、2012年に講談社を退社し、コルクを創業。従来のビジネスモデルが崩壊している中で、コミュニティに可能性を感じ、コルクラボというオンラインサロンを主宰。編集者という仕事をアップデートし続けている(引用:WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE. 現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ)

 

 

本書の構成

はじめに:We are lonely, but not alone.
第1章:現代の孤独とコミュニティ
第2章:持続可能な経済圏としてのコミュニティ
第3章:安全・安心とは何か?
第4章:コミュニティを編集する

本のタイトルにも入っている「We are lonely, but not alone.」この言葉は『宇宙兄弟』の中で登場するセリフらしい。(僕は未だに読んだことがない…)

「私たちは孤独だが、1人ではない。」この言葉は現代にそっくりハマっているように感じました。インターネットに常時接続することが当たり前になり、SNSで誰とでもいつでもつながることができる。しかし、自殺者はいるし炎上など日常茶飯事となっている。(日本が特にそうかもしれないが)

構成としては順に、現代の孤独の問題について書かれていて、そこからコミュニティ形成の話しへと続いていきます。

個人的に印象に残った話は「楽天」と「Amazon」の違いについてでした。

僕はここ何年もAmazonユーザーです。Amazonプライムにも加入しているので、映画も音楽も本(一部)も見放題・聴き放題・読み放題です。東京に住んでいれば、大体の商品は次の日に届くし、かなり便利です。EC市場のデータも見ているのでAmazonが年々拡大しているのもわかっていましたが、それでも楽天ユーザーが一気に減っているデータは見られなくてずっと不思議に思っていました。
こんなにAmazonが便利なのに、どうしてあんなに見づらくて、探しづらい楽天を使う人がいるのだろうかと。「田舎の人達は新しいサービスを使う勇気がなくて、馴染みのある楽天ばかり使っているのかなぁ」くらいにしか考えてませんでした。

しかし、実際はそうではなく、Amazonはショッピングモールの役割を果たし、購入体験を快適にする方向性。楽天は商店街の役割で、商品を中心としたコミュニティ形成促す方向性の違いがあると。商店街でのコミュニティでは、勧められるから買うという状態が作られるので、Amazonには無い価値があると書いてありました。
これが本当に目からウロコでコミュニティの強さを改めて感じました。

 

おわりに

この本の中身は非常に濃い内容だと思いました。コミュニティを形成するための順番や必要事項、モチベーションの上げ方から運営まで。最近話題のSHOWROOM株式会社の前田裕二社長の「人生の勝算」やキングコング西野さんの「革命のファンファーレ」に書かれてあることと同じことが書いてあったり、もう少し踏み込んで書いてあったりするので、オンラインサロンの運営などN対Nのコミュニティづくりをする方にとっては必読かと思います。

 

では今日はこのへんで!